Cosnomi

プログラミングをする医学生。物を作ること、自動化すること、今まで知らなかったことを知ることが好き。TypeScript書いたり、Pythonで機械学習したりなど。

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KyashのQRコードを使った投げ銭Webサービスを作ってみた ~Kyabinetの開発経緯~

Sept. 22, 2018ITKyabinetKyash

注意: このサービスは既に公開を終了しました

Kyabinetは2018年にサービスを公開し、およそ100名の方にご利用いただきました。 しかし、私が運営に関する時間的・経済的なコストを負いきれなかったことや、特にユーザの投稿するコンテンツに対してのモデレーションを行うリソースがなかったことから2019年にサービスを終了しました。 サービス終了に伴い、この記事も公開を停止していましたが、本記事はいくつかのサイトからリンクされており、訪問者から記事公開の問い合わせを頂いたことから、2021年に再度公開することといたしました。

サービス開始当時と比べると2021年はキャッシュレスが一般層にも普及し、クリエイターへのクラウドファンディングも盛んになっています。自分がKyabinetを通して目指したかったクリエイター支援の形態が実現されつつあるのは大変嬉しく思う一方で、自分がKyabinetを公開終了した判断が間違っていたのではないかと思うこともあります。

私がどのような考えでサービスを公開し、人数としては限定的ではありますが、一部のコミュニティに広まっていったかの記録として本記事が参考になれば幸いです。

kyabinet の概要

こんな感じで自分のやっていることや、やりたいこととともにKyashのQRコードを掲載することで、応援してくれる人から投げ銭をしてもらうという形のサービスです。

やっていることはKyashのQRコードを載せているだけなので、送金手数料はかかりませんし、セキュリティ上の問題もないと考えられます。

TwitterまたはMastodonのアカウントでとても簡単に登録できます(入力するのは自分のプロフィールに載せる文章だけです! 個人情報は不要です! )。

開発の動機

私はKyashというサービスを見つけたとき、割り勘よりもむしろ投げ銭としての利用に大きく期待をしました。

それは次の理由からです。

  • 手数料がかからない → 少額でも送金しやすい
  • 本人確認がいらない →(特に投げ銭する側の)負担軽減
  • 本名を相手に隠せる → ネット上でのやり取りに便利
  • VISAとして使える → 流動性が高い

しかし、Kyashでの投げ銭にはいくつかの課題がありました。そして、それを解決するためにkyabinetというWebサービスを作ろうと思い立ったわけです。

今回は、kyabinetが具体的にどのような課題を解決したのかについて、いくつか紹介したいと思います。

スマホ・PC の両方から送金しやすく

Kyashでは、自分に送金(・請求)するためのQRコードを生成できます。これをスマホで読み取れば、アプリが開いて自分のアカウントが表示されるというわけです。

しかし、スマホからKyashで投げ銭したい場合、QRコードは少し面倒です。画像を保存してそこから読み取ればいいのですが、やや手間がかかります。それだけで面倒だからいいやとなってしまう人は、意外と多いのではないかと思っています。

このような場合、スマホのためにQRコードの中身のリンク(kyash://から始まるやつです)を載せておけばいいのですが、Twitterはcustom Schemeのリンクをサポートしないようなので、Twitter上にQRコードの中身のリンクを載せておくということはできません。Mastodonの主要クライアントも同じような仕様のようです。

そこで、リンクを貼れる通常のサイトを作り、そこを経由してもらうことで、custom SchemeのURLにアクセスできると便利になると考えました。さらに、QRコードも載せることでPCからの投げ銭も容易にしました。

このように、kyabinetを経由することでスマホの場合はタップ、PCの場合はQRコードをスマホで読み取るという簡単な操作で投げ銭ができるようになりました。

用途などを統一されたレイアウトで分かりやすくした

投げ銭をする人は、その人が何をしていて、何をしたいのか、お金がどのように使われるのか興味があるはずです。それらをTwitterやMastodonでQRコードとともに文章で書くのもよいのですが、箇条書きにしたかったり、文字数制限を超えて書きたかったりすることもあるかと思います。

自分でWebサイトを作るにしても、わざわざ投げ銭のためにWebサイトを作るのは大げさと感じるかもしれませんし、構成に気を配らないと読みにくい、どこから投げ銭すればいいのか分かりにくいサイトが出来上がってしまうかもしれません。

kyabinetでは事前に入力するべき項目を用意しているので、自然と分かりやすい構成のプロフィールページを作成できます。

また、QRコードもPC版では追尾してきますし、スマホ版でもページの先頭と末尾に用意していますので、初めてこのページを見たユーザーも迷うことはないでしょう。

kyabinetが浸透すれば、統一されたレイアウトというメリットも期待できます。

投げ銭を募ることへの抵抗感を軽減した

わざわざ寄付専用ページなどを作るのはなんだか露骨で嫌だと思う人もいるかも知れません。[note]別に悪いことではないと思うのですが、気にする人もいるかもという話です。[/note]しかし、kyabinetというプラットフォームがあれば、もっと軽い感じで投げ銭を募集できると思うのです。

また、TwitterなどにKyashのQRコードを載せると画像なので目立ってしまいます。(何に使うかを長文ツイートで書いていたらなおさらです。)目障りだと感じる人もいるかも知れません。

しかし、kyabinetのリンクを貼ることで、投げ銭を考えている人に対しては丁寧な説明ができますし、投げ銭を嫌う人に対してはそこまで目障りでないリンクで済ませられます

堂々と投げ銭を募集できるのが理想的なコミュニティだと個人的には考えていますが、現状ではこういった動機でkyabinetを利用してもらうというのも有効だと考えています。

公開前に

公開前に、Kyashの中の人に利用規約上の問題がないか確認しました。

返答としては、規約上の問題はない、ただしKyash公式のサービスと誤解されないようにしてほしいとのことでした。

kyabinetは言ってしまえば単なるQRコード共有サイトみたいなものですが、一応、間接的にお金が絡むサービスですので、トラブルが起こってしまう可能性もありますからね。トップページに非公式のサービスであることを明記しました。

公開後の反応

公開後はTwitterとMastodonで宣伝投稿をしました。

Twitter

Twitterは初速が速かったです。ユーザー数が多いのでインプレッション数もかなり伸びました。ただ、ピークをすぎると、落ち着いてしまい、あまり人の目に止まらないという感じでした。TwitterはTL上にRT, Fav数が表示される仕様なので、RT数がもっと増えてくると変わるかもしれません。

RTしてくれたユーザーの層としては、フリーランスやベンチャー系の方が多かった印象です。

Mastodon

Mastodonでは、初めは自分のフォロワーの方にブーストされ、そこからじわじわと広がっていきました。ピークをすぎても、たまにブーストされるとじわじわ…と広がっていく感じです。TLが時系列なので素直な挙動という感じですね。

ユーザーの層としては、ガチ技術系の人やインスタンス管理人の人が多かった印象です。インスタンス運営にはお金がかかりますから、ぜひ、kyabinetを活用してほしいと思います。


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