先日、某YouTuberがエンジニアのコミュニケーションについて、やや過激な言葉で持論を展開するツイートが話題になりました。あのようなツイートは本人が意図的に攻撃的な言葉を使うことで売名を狙っているきらいがあるので、あえてここでツイートや発言者の名前を出すのは控えておきます。炎上商法は個人的には大嫌いですので、そのツイートはリツイートをしないことを強く推奨したいと思います。
いずれにせよ、ツイートの趣旨は次の通りです。
Slackやプルリクエストの文章で、断定や命令の表現(「違います」や「しましたか」「してください」)が多いのは、ビジネスマナーを理解できていないエンジニアの稚拙な言葉遣いである。
具体例として以下が挙げられています。
違います→違和感があるのですが、いかがでしょうか。
しましたか→既に~済みであるという認識で問題ございませんでしょうか。
さて、この発言をした人の意図は炎上商法なのだと思われますが、それはそれとして、今回は発言者を批判するのではなく、エンジニア(ソフトウェアエンジニア)のコミュニケーションはどうあるべきなのかについて私見を述べたいと思います。
冗長な言葉遣いは邪魔なのでやめてほしい
これは本当に個人的な感覚なのですが、
「~ですか/でしょうか」: 自分もよく使う
「~という認識であってますか?」: ときどき使う
「~という認識で問題ありませんか?」: 相手と上下関係があるときは使う
「~という認識で問題ございませんでしょうか?」: 長い、見にくい。自分は使わない。
という感じです。
相手との上下関係とは10歳以上の年齢差とかのレベルです。特に非IT界隈の方と話すときは気をつけています。相手によって言葉遣いを変えることは必要です。
しかし、エンジニア同士のコミュニケーションと考えたとき、おそらく後半2つは少なくとも自分は好きではありません。言葉が長くなることで、見づらく感じるからです。その場で読んで返信するだけなら、僅かな文字数の違いですが、ログとして読むときにはこのような冗長な言い回しは邪魔です。
攻撃的なニュアンスはいらない
具体的には、「~も分からないのですか?」など相手の知識不足を責めるような発言。別に、相手の理解の程度を問うだけなら、不要な攻撃的ニュアンスを排除した表現がありますよね。例えば、「~については分かりますか?」「~は知っていますか?」など。
断定形・否定形に対する嫌悪はありませんが、このように余計に攻撃なニュアンスが追加された言葉遣いは自分が受けるとダメージを受けますし、見ていて気分が悪くなってしまいます。
技術的なやり取りにおいて、相手を攻撃する意味というのはないはずです。仮にとんでもないコードを書く人がいても、批判するべきはその人ではなくコードであるはずです。まあ、一向に改善が見られない場合は、「もう少し勉強してみてください」と言うくらいはありかもしれません。
いずれにせよ、攻撃的な発言はコミュニティにおける自由な発言を阻害するという点で、好ましいものではありません。過剰な敬語は必要ありませんが、相手には敬意を持って接したいものです。
断定は断定、否定は否定なのだから
いくら敬語に包もうとも、断定は断定ですし、否定は否定です。過剰な敬語に本来伝えたいことを包んで満足するのは、本質を見えにくくして満足しているだけです。
「違います」を「違和感があるのですが…」に言い換えてしまっては、受け取った側は、それがその人が個人的に感じている違和感で修正の必要はないのか、あるいは、技術的に問題のあるものなのかが分かりません。
本来排除すべき攻撃的発言を排除するという方向ではなく、本質を曖昧にして受け入れられる表現にしようとするのはいかがなものかと思います。
まとめ
現状、一部のエンジニアの言葉遣いについて不満というか怖いと思ってしまうことはあるかもしれません。しかしそれは、言い方がシンプルだから、ビジネスマナーに沿っていないからといったものではなく、発言者がシンプルな言い方に本来必要ない攻撃的なニュアンスを追加しているからだと考えます。
技術的なコミュニケーションにおいては、そのような負の感情を含めず、シンプルに必要なことを伝達するようにすれば、効率的で排他的でないコミュニケーションが可能になるのではと思います。
結局は、チームの雰囲気によるところが大きいかもしれません。エンジニアのコミュニケーションはそのコミュニティに属するエンジニアが決めればいいのであって、部外者(私も含めて)がどう言おうと気にしないほうがいいでしょう。
今日の一言: 「炎上商法ツイはリツイートしたら負け。黙ってブロックすべし。」